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茅葺き屋根とは、草で葺かれた屋根の総称です。
狭い意味には最もよく使われるすすきで葺かれた屋根を指します。
このような茅葺きの屋根は古くから北海道、沖縄まで住宅に限らず社寺等のあらゆる建物に用いられてきました。古代の住居(倉)の形式を伝えるといわれる伊勢神宮の屋根も茅で葺かれています。 |
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今日茅葺きといえば山村の農家を思い浮かべますが、世界文化遺産の白川郷や五箇山の合掌造りをはじめ、東北地方の宿場町や武家屋敷には今もなお数多くの茅葺き家が残り、村人がそこで日常の生活をしています。
昔は、屋根の葺き替えは村人の相互扶助による共同作業で行われましたが、今は各家から労力を集めることが困難になり、茅葺き職人に頼らざるを得ない現状になっています。
その上、茅葺きの材料となる茅場の減少で材料の確保が難しくなってきたり、職人の高齢化や後継者不足などで周りに職人がいないため茅を屋根から下ろしてしまうこともあるようです。また、手入れされずに放置されたままの茅葺き家も見かけるようになりました。 |
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茅葺き屋根を維持していくには、全面的に葺き替える「丸葺き」、屋根をいくつかに分割して葺き替える「分割葺き」、痛みのひどい部分に少しずつ差して補修する「差茅(さしがや)」の3つの方法があります。
丸葺きは主として九州や四国地方に多く、差茅のみに頼るのは新潟県を含む東北地方の日本海側だけに限られ、その他の地域は分割葺きが一般的です。また、関東地方には新築後20年目に差茅し30年目に葺き替えをするというサイクルが定着している地域もあります。
「茅葺き屋根の葺き替え」と聞くと、全部新しい茅で葺き直すと思われがちですが、実際は全使用量の1/4から1/3は古茅が再利用されています。まさにエコロジカルな資材だといえますね。
よく「葺き替えに手間やお金がかかりませんか?」と聞かれますが、現代の家屋を一代に一度建て替えていることを思えば、むしろ安上がりかもしれません。
落とした茅はすべて堆肥になり、やっかいな産業廃棄物は一切出さないというエコ住宅なのです。 |
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平成にかやぶき家を残す。
さらにその先の後世にまでこのエコロジカルな「かやぶき屋根」の伝統技法を伝えていくことが、わたしたち茅葺き職人の使命でもあります。 |
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